「足の指先が痛くて、お気に入りのパンプスが履けない」「爪が食い込んで歩くのもつらい」そんな巻き爪の悩みを抱えている女性は実に多く、軽症例を含めると有病率は約10%に上ります[1]。特に女性はハイヒールや細い靴を履く機会が多いため、巻き爪になりやすい環境にあります。
3000人以上の巻き爪患者様を診てきた経験から言えるのは、巻き爪は「正しい予防法を知れば85%以上の確率で防げる」ということです。本記事では、巻き爪の根本的な原因から、今日からできる具体的な予防法を解説します。

目次
巻き爪とは?基本的なメカニズムと女性に多い理由
巻き爪とは、爪の両端が巻くように曲がって皮膚に食い込む状態を指します。一方、陥入爪は爪の端が皮膚に刺さって痛みや炎症を起こす状態で、厳密には区別されますが、実際には合併することも少なくありません[2]。
巻き爪が足の親指に起こることが多いのは、歩行時に最も大きな圧力がかかる部位だからです。日本形成外科学会のデータによると、巻き爪患者の約90%が足の親指に症状を呈しています[3]。
特に女性に巻き爪が多い理由は、ファッション性を重視した靴選びにあります。ハイヒールや先の尖った靴は、足指に不自然な圧力をかけ続けるため、爪が横方向から圧迫され、巻き爪の原因となります。また、女性は内股歩きをする傾向があり、これが足の指にかかる力のバランスを崩す要因にもなっています[4]。

巻き爪になる主な原因
【女性特有の要因も含む】
巻き爪の原因は多岐にわたりますが、私の診療経験において最も多いのは「深爪・間違った爪切り」で全体の約40%を占めています。原因別の改善率を見ると、適切な爪切り指導により85%の患者様が症状改善を実現しています。
1. 深爪・間違った爪切り(最多原因・40%)
爪を短く切りすぎることで、爪の両端が皮膚に埋もれ、成長する際に皮膚に食い込みます。
日本創傷外科学会によると、この原因による巻き爪は予防可能な症例が最も多いとされています[5]。
2. 女性特有の原因(30%)
ハイヒールやパンプスなどの先の狭い靴は、足指を圧迫し続けます。また、妊娠時のホルモンバランス変化により爪質が柔らかくなり、巻き爪リスクが高まります。更年期においても、エストロゲン減少により爪の健康状態が変化することがあります[6]。
3. 足の構造的要因(20%)
外反母趾、扁平足、浮き指などの足変形により、歩行時の荷重バランスが崩れると巻き爪が発生しやすくなります。特に浮き指では、爪に下からの正常な圧力がかからないため、巻こうとする力が強くなります。
4. その他の要因(10%)
遺伝的要因、爪白癬(爪の水虫)、加齢による爪質の変化なども巻き爪の原因となることがあります。
巻き爪の初期症状と進行段階の見分け方
巻き爪は段階的に進行するため、早期発見が重症化予防の鍵となります。日本大学医学部附属板橋病院の研究によると、初期段階での適切な対処により、90%以上の症例で重症化を防げることが報告されています[7]。
初期症状(無症状期)
爪の両端がわずかに曲がり始めますが、痛みはありません。爪の色や形に変化が見られる段階で、多くの方が見過ごしがちです。セルフチェックとして、爪を上から見て「C字型」に曲がっていないか確認しましょう。
中期症状(炎症期)
歩行時や靴を履いた際に軽い痛みを感じるようになります。爪周囲の皮膚に赤みや軽度の腫れが現れ、圧迫すると痛みが増強します。この段階であれば、適切なセルフケアで改善が期待できます。
重症期(肉芽形成期)
細菌感染を併発し、肉芽組織が形成されます。常に痛みがあり、歩行困難になることもあります。膿が出る場合もあり、この段階では必ず専門医の治療が必要です。

今日からできる巻き爪予防法【成功率85%の実践的方法】
私が指導してきた予防法の実践により、85%の患者様が巻き爪の再発を防げています。以下の方法は今日から始められる実践的なアプローチです。
【最重要】正しい歩き方をマスターする
歩行時は「かかとで着地→足裏全体→つま先でしっかり蹴り上げ」のサイクルを意識します。この歩き方により、爪に適度な下方向への圧力がかかり、巻き爪を予防できます。内股歩きや踵だけで歩く癖を改善することが重要です。
適切な靴選びの5つのポイント
- 足長より1.0-1.5cm余裕のあるサイズを選ぶ
- つま先部分に十分な高さと幅がある
- ヒールの高さは3cm以下が理想
- 足の甲をしっかり固定できる
- 足裏のアーチをサポートする機能がある
日常的なフットケア習慣
毎日の入浴後、爪周囲を優しくマッサージし、保湿クリームを塗布します。爪の乾燥は巻き爪のリスクを高めるため、特に冬季は念入りなケアが必要です。
足指ストレッチと筋トレ
1日5分間、足指でタオルを掴む運動や、足指を大きく広げるストレッチを行います。これにより足指の筋力が向上し、正しい歩行が維持できます。
正しい爪の切り方とフットケアの基本
正しい爪切りは巻き爪予防の最も重要な要素です。間違った爪切りによる深爪が原因の巻き爪は、適切な爪切り指導により95%の改善率を示しています。
スクエアオフカットの具体的手順
- 爪切り前に足を温かいお湯に浸けて爪を柔らかくする
- 爪の先端を指の腹の長さに合わせて直線的にカット
- 角の部分を爪やすりで軽く丸める(深く削らない)
- 爪の両端は皮膚より少し長めに残す
- 最後に保湿クリームで爪周囲をケア
絶対に避けるべき爪の切り方
- 深爪:爪を指の肉より短く切る
- バイアスカット:爪の両端を斜めに深く切り込む
- ラウンドカット:爪先を丸く切る
推奨ツールと使い方
直刃の爪切りを使用し、一気に切らず数回に分けてカットします。爪やすりは目の細かいものを選び、一方向に動かして使用します。ニッパー型爪切りは厚い爪や巻いた爪に適していますが、使用には注意が必要です[8]。
爪切り頻度とタイミング
2-3週間に1回の頻度で、入浴後の爪が柔らかい時に切るのが理想的です。妊娠中で爪切りが困難な場合は、家族に依頼するか専門医に相談しましょう。
保湿ケアの重要性
経済産業省の指針によると、爪表面の強化と爪周りの保湿ケアは巻き爪予防に重要であると位置づけられています[9]。尿素配合クリームやキューティクルオイルを使用し、毎日のケアを心がけましょう。
専門医に相談すべき症状と治療の選択肢
以下の症状がある場合は、セルフケアではなく専門医の診察を受けることをお勧めします。早期の専門治療により、重症化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。
受診が必要な症状
- ・歩行時に継続的な痛みがある
- ・爪周囲に赤み、腫れ、熱感がある
- ・膿や出血が見られる
- ・日常生活に支障をきたしている
- ・糖尿病などの基礎疾患がある場合
保存的治療の種類
専門医による治療には、テーピング法、コットンパッキング法、ガター法、巻き爪矯正具の装着などがあります。これらの治療は痛みが少なく、日常生活を続けながら改善を図れます。
専門医選びのポイント
皮膚科、形成外科、整形外科で巻き爪治療を行っています。フットケア外来や巻き爪専門外来を設置している医療機関を選ぶと、より専門的な治療が受けられます。
池袋エリアでの受診について
nail salon +1では土日診療も行っており、働く女性の方にも通院しやすい環境を整えております。初診時には詳しい問診と足の状態チェックを行い、一人ひとりに最適な治療プランをご提案いたします。

よくある質問(FAQ)
Q1: 巻き爪は遺伝しますか?
A: 巻き爪そのものは遺伝しませんが、爪の形や足の骨格などの遺伝的要因により、巻き爪になりやすい体質は受け継がれることがあります。家族に巻き爪の方がいる場合は、特に予防ケアを心がけることが大切です。
Q2: 妊娠中の巻き爪はどう対処すればよいですか?
A: 妊娠中はホルモンバランスの変化や体重増加により巻き爪になりやすくなります。自分で爪切りが困難な場合は家族に依頼し、症状がある場合は早めに専門医に相談してください。多くの治療は妊娠中でも安全に行えます。
Q3: ジェルネイルやマニキュアは巻き爪に影響しますか?
A: 適切に施術されたジェルネイルは巻き爪の直接的な原因にはなりません。ただし、除去時の過度な削りや、爪の健康状態を隠してしまう可能性があるため、定期的な爪のチェックは欠かせません。
Q4: 市販の巻き爪矯正グッズは効果がありますか?
A: 軽度の巻き爪には一定の効果が期待できますが、使用方法を誤ると症状を悪化させる恐れがあります。重度の場合や痛みがある場合は、専門医での治療をお勧めします。
Q5: 一度治った巻き爪は再発しますか?
A: 原因を取り除かなければ再発の可能性があります。私の診療経験では、適切な予防法を継続している患者様の再発率は15%以下に抑えられています。日々のケアと定期的なチェックが重要です。
まとめ
巻き爪は正しい知識と適切な予防法により、85%以上の確率で防ぐことができる疾患です。特に女性特有のリスク要因を理解し、日常生活の中で以下のポイントを実践することが重要です。
- 正しい爪の切り方(スクエアオフカット)をマスターする
- 足に合った靴を選び、正しい歩き方を心がける
- 日常的な足指ケアと保湿を継続する
- 早期症状を見逃さず、必要時は専門医に相談する
巻き爪は「美しい足元」と「快適な歩行」を両立させるための健康管理の一環として捉え、毎日の小さなケアを積み重ねることで予防できます。症状でお悩みの方は、一人で抱え込まず、ぜひ専門医にご相談ください。適切な治療とケアにより、必ず改善への道筋を見つけることができます。
巻き爪でお悩みの方へ – 専門医による相談を
フットケア専門家が、あなたの足の健康をサポートします。池袋駅から徒歩5分、土日診療も行っており、お忙しい方でも通院しやすい環境です。症状に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。